ある州が大麻(マリファナ)を合法化する事によって近隣の州の犯罪は増加するのかという研究に驚きの結果が(アメリカ)
嗜好品用の大麻(マリファナ)の使用を合法化する事で、その地域、また近隣での犯罪率にはどの様な影響が見られるでしょうか?
研究者たちは今回、アメリカで大麻を最初に解禁したコロラド州とワシントン州を対象に、大麻の解禁が近隣の州での犯罪率にどの様な影響を与えているのかを調査しました。
嗜好品用の大麻を合法化する事で、本当に犯罪は増加するのか?
アメリカでは大麻(マリファナ)のの合法化される州がだんだんと増えていき、産業としての規模が拡大していっていますが、国内ではまだまだ大麻について危険視し、反対する意見も少なくありません。
彼らの意見はこうです。
“『大麻を解禁する事によって犯罪が急増し、小売店がある地域に大惨事をもたらし、麻薬とは関わりを持たない事を望んでいた近隣の非合法の州に大麻が流出していく事を懸念しています。』
”
しかし国内で最も合法化の歴史が長く、2012年にアメリカで最初に嗜好品の大麻を解禁したコロラド州とワシントン州の解禁後から最近までのデータを調査してきた研究者によると、上記の警告されていた様なケースでの犯罪データの増加はほとんど見つからなかった事が報告されています。
さらに、最新の研究の一つでは、嗜好品の大麻使用が合法化された事によって逆に近隣の州の境界群での特定の犯罪を減少させたケースも研究結果として浮上してきています。
コロラド州とワシントン州では、犯罪の増加は見られず逆に減少まで確認された
違法薬物に関する医学雑誌Journal of Drug Issuesに発表された最新の研究の著者は以下の様にコメントしています。
“『コロラド州とワシントン州と、隣接している大麻非合法の州の境界群では、大麻に関するある種類の犯罪の発生率の増加は見られませんでした。』”
“『さらにコロラド州に限っては境界部での物的犯罪、窃盗、暴行といった種類の犯罪が大幅に減少されている事が確認されました。』”
“『全体的に見ればコロラド州の結果は、嗜好品大麻の合法化によって近隣の州における犯罪を削減する効果を示す証拠になります。この発見は、大麻の合法化によって犯罪を増加させるという反対派の主張とは全く逆の結果になっています。』”
大麻の合法化による犯罪の影響は明確な結果を出すための材料が少ない
大麻(マリファナ)が犯罪に対してどの様な影響をもたらすかの明確なデータについては合法化の歴史が浅く現時点では判断材用が限られており、様々な結果が混在していたと著者は書いています。
犯罪が増加すると主張する一方の意見では、例えばいくつかの研究では大麻製品の小売店が多い地域では犯罪率が高い事がわかっていたり、別の研究では医療用大麻、嗜好品用大麻の小売店の両方が特定の犯罪の増加に結びついている事が明らかになっているようです。
しかし、このデータをややこしくさせるのは、大麻ビジネスは一般的には未だ従来の銀行のサービスが利用できずに現金商売になってしまっているという事にあるそうです。
“『嗜好品用の大麻販売店の犯罪誘発効果は、大麻の販売が強盗等のターゲットになりやすい現金を取り扱うビジネスである事が原因となっています』”
と研究者は推察しています。
一方の犯罪が減少すると主張する研究者たちは合法化は実際に犯罪を減らしていると言います。彼らは、大麻の合法化自体が犯罪を減らすだけではなく、合法化によって、凶悪犯罪がはびこる地下の大麻市場を縮小する事を主張しています。
また、幾つかの研究ではワシントン州で嗜好品大麻を合法化したのち、隣のオレゴン州と比較してワシントン州でのレイプと器物破損の犯罪が減少した事を示したという主張を支持しています。
コロラド州では犯罪件数の大幅な減少が確認された
この様に嗜好品大麻を合法化した州自体の研究調査は積極的に行われているものの、合法化が近隣の州への犯罪率に対してどの様な影響を与えるかについてはほとんど研究がされていませんでした。
この疑問に答える為に、今回研究チームはワシントン州とコロラド州が大麻を合法化する前後での近隣の州への影響に関してのデータを掘り起こす事になりました。
彼らは様々な情報源からデータを収集しましたが、最も重要な情報源は連邦捜査局の統一犯罪報告(UCR)プログラムを利用しました。このUCRのデータは、重大な凶悪犯罪から、単純な暴行などの軽犯罪の情報を提供している為、細かいデータまで分析を行う事が出来たそうです。
その結果、ワシントン州に隣接する大麻非合法の州では犯罪率に大きな変化は見られなかった為、「大麻を合法化する事によって近隣の州に犯罪が波及する可能性がある」という主張に対しては反論出来るデータを出せる形となりました。
また、コロラド州でのデータの研究結果は更に嗜好品大麻の合法化によってが近隣の州での犯罪を減少させる効果がある結果をを示しました。
“『コロラド州に隣接する6つの州(カンザス州、ネブラスカ州、ニューメキシコ州、オクラホマ州、ユタ州、およびワイオミング州)では、コロラド州の嗜好品大麻合法化の後に人口10万人あたり平均393.1件の器物破損犯罪と277.3件の窃盗犯罪が他の隣接していない州と比べて減少しました』”
“『この発見は、ある州(コロラド州等)での嗜好品大麻の合法化は、近隣の州の犯罪に負の結果をもたらさない可能性がある事を示しています』”
なぜ、大麻を合法化する事によって犯罪率が減少したのか
では、大麻の合法化によって何故が犯罪が減少したのでしょうか?
未だ合法化の歴史が浅くデータの少ない現在ではあくまでも推測する事しかできないとした上で、幾つかの考えが挙げられていました。
1.合法化される事によって大麻の価格が下がった事で、大麻を手に入れる為に略奪的な犯罪が減った。
2.大麻が合法化されている州に近い非合法な州では、警察が大麻関連の犯罪に目を光らせる事になった(合法化されている地域に大麻を入手しに行くのを防ぐため)
3.容易に大麻を利用する事が出来る様になった事でアルコールの消費率が低下した為に、アルコールの摂取によって引き起こされた犯罪が減った
ただし、研究者たちによるとこの研究結果では嗜好品大麻の合法化が「犯罪を減らす」という確実な立証には至れていないと警告しています。何故かというと、コロラド州ではこの様な減少結果が見られたものの、ワシントン州に隣接する州では犯罪が増加しなかったものの、特に減る事もなかったからです。
研究チームは、今回の研究を以下の様に結論づけています。
“『嗜好品大麻の合法化による潜在的な波及効果(近隣州の犯罪を悪化させたり減少させたりする事)は、近隣州の社会的・文化的・政策的な考えの捉え方の違いによるものである可能性を示しています。』”
関連記事
新しい記事
2024年までにアメリカの大麻産業は国内の経済を1300億ドル押し上げると予想される
チェコ共和国ではCBD製品の自動販売機を年内に主要都市の50か所に設置
韓国は産業用大麻(マリファナ)の生産における特別な「自由区」を設定
大麻(マリファナ)産業をゼロから8週間で学べるカリキュラムがスタート(カリフォルニア)
ジャマイカの大麻(マリファナ)産業の規則が国際市場で成功する為に新しく改正される
女性に向けての大麻(マリファナ)マーケティングが必要な5つの重要な理由

SECULTURE(セカルチャ)では今世界で起こっている大麻(マリファナ)に関してのニュースや合法化事情、話題、関心事を紹介します。
現在日本では大麻は一部の成分(CBDなど)を除いて厳しく違法とされていますが、大麻について良い意見を持っている方、悪い意見を持っている方に対してSECULTUREは中立な立場で良いニュースも悪いニュースも配信していく方針です。
※このサイトではあくまでも世界で話題になっている大麻の有用性についてのニュースを紹介するもので、日本国内で大麻の利用について違法行為を推奨するものではありません。
- アメリカ (17)
- CBD (7)
- 合法化 (6)
- NASA (5)
- 新型コロナウイルス (5)
- イスラエル (5)
- 医療用大麻 (4)
- 大麻 (4)
- 香港 (3)
- 韓国 (3)
- メキシコ (3)
- 火星 (3)
- イギリス (3)
- 栽培 (3)
- コロラド州 (2)
- ソーシャルディスタンス (2)
- 学生 (2)
- マスク (2)
- コロナウイルス (2)
- 医療用 (2)
- カリフォルニア (2)
- 研究 (2)
- 大麻産業 (2)
- 動画 (2)
- AI (2)
- 中国 (2)
- ノルウェー (2)
- 3Dプリンタ (2)
- オークション (2)
- google (2)
- ロシア (2)
- スイス (2)
- イングランド (2)
- 絵画 (2)
- ゴッホ (2)
- オランダ (2)
- デモ (2)
- キュリオシティ (2)
- 写真 (2)
- インド (2)
- パンデミック (2)
- 宇宙 (2)
- オーストラリア (2)
- フィリピン (2)
- アルゼンチン (2)
- カンナビジオール (2)
- 石鹸 (1)
- 入浴剤 (1)
- オレゴン州 (1)
- イリノイ州 (1)